キジしろ文庫

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貴志祐介「新世界より」(上)

あらまし

 1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 1/3分割なので、以下、備忘録程度に記します。幻想・奇怪さと、残忍・残酷・凄惨さが徐々に増してくるとともに、なぜか人間に接近(服従、攻撃)するバケネズミの存在が気になります。

 さて、ここ1/3では、呪力を磨き・正しく使うために全人学級に通う少年少女が、搬球競技や夏季キャンプなどを過ごします。そのキャンプでは、風船犬や悪魔のミノシロ(ミノシロモドキ)を捜そうとカヌーで利根川から筑波山に入り、ミノシロモドキ(国立国会図書館つくば館)を見つけます。

 ミノシロモドキからは、それまで教えられてこなかった①「悪鬼」=精神病質者、「業魔」=重篤患者や、②PK(サイコキネシス)能力者と一般人という人間同士の殺戮による対立、その後の残忍な方法での一般人支配、③さらにこのような対人攻撃に対してとった遺伝子操作による「攻撃抑制」「愧死機構」が、自分たちに備わっていることを知り、ショックを受けます。ここで、清浄寺の僧侶に見つかり、知ってはいけないことを知ったがために、呪力を凍結され、寺へと連行されてしまいます。

 この途中で、呪力をもつ人間に服従するべき、外来種の土蜘蛛というバケネズミの襲撃に会い、そこを逃げ出したところで塩屋虻コロニーのバケネズミに拘束され、その戦闘に巻き込まれます。ここで、呪力を取り戻すことでいったん難を逃れますが、塩屋虻の奏上役スクィ―ラとともにあらためて対峙することとなり、大雀蜂コロニーの奇狼丸に救われたところで、上巻は終えます。(2020.04) 

では、また!