キジしろ文庫

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橋爪大三郎、大澤真彦「ふしぎなキリスト教」

あらまし

 日本人の神様とGODは何が違うか?起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問に答える最強の入門書。挑発的な質問と明快な答え、日本を代表する二人の社会学者が徹底対論。(新書帯より)

 よみおえて、おもうこと 

 雑感・私見レビュー:★★★★★星5

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 何より日本人の思う素朴な不思議を恥ずかしげもなく問い、会話を隣で聞いているような雰囲気ある語りで、わかりやすい例えを使って、時々聖書なども引きながら、少しずつ応えて進めています。なので、とてもサラサラと読みやすく、そういうことだったのか、と腑に落ちます。モヤモヤ感がなくなり、スッキリする本だと思いました。

 以下は、私見や勝手な解釈、おそらく誤認なども満載の極論・曲解だと思います。まず、本書を一言で言えば、こうでしょうか。
「苦悩、悲嘆、恐怖など、いろいろあるけど、くさらないで、謙虚に精進努力しよう!神さまが見てるし!」

 また、「個人毎の生き方に関して、これ以外のものはない、唯一絶対の神との個別契約(←団体契約ではない)をしている(ボヤッと脳裏に叩き込まれている)。なので、人がとやかく他人に口出しすることなどありえない。他人は他人、自分は自分!」

 さて、同様にして、本書の要点は以下の通りです。
①この世界は神がつくったので、神の視点からしか、この世界を見ない。それは、宇宙・地球・草木・生き物・人間は、どれも同じ被造物というモノにしかすぎず、人と神には隔絶・不連続な格差(圧倒的な支配者と奴隷の関係、説明もない・口出しもできない・気まぐれで無茶苦茶やるなど)がある(モノどうしは平等)。
②この世界では、神は理不尽な試練を人に与えて試し(不完全な世界)、人は神への意識を持ち・呼びかけなどしていくことで、割り切りを行い、定めを受け入れ(神の意志)乗り越え、生きていく(神と一個人との信仰の成立、人のつとめ)。
③他方、人は神によって、原罪(生まれながらに備わっている)を課されているため、いじめ・他人を欺く・暴力など自分本位の対人関係をつくってしまい、これは、隣人愛(自分のためでなく、他者を尊重し、神につくすこと。神に裁かれないよう、人が人を裁いてはいけない。)という導き(福音:イエスキリストのスピーチ集)に、必ず背くことになる。
④このように(②も無視とか)神の意志に従わないでいると、神はこの世界を簡単にスイッチオフしてしまう(この世界の消滅)。
⑤スイッチオフ後は、人は神の国(永遠の生命など良いところらしい)へ行くか、焼かれてしまうことになるが、その選別は、神はあらかじめ決めてしまっている。
⑥このような弱い立場の人にできることは、やはり②へもどり、信仰による神への救済を求めることでしかない。
⑦なお、神がつくった、「山の神」など神のいない自然物を究明する科学は、神の意志を探ろうとすることになるため、発達の蓋然性がある。(2020.07)

 では、また!