キジしろ文庫

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朝井リョウ 他「1日10分のしあわせ NHK国際放送が選んだ日本の名作」

あらまし

 全世界で聴かれているNHK WORLD‐JAPANのラジオ番組で、17の言語に翻訳して朗読された作品のなかから、人気作家8名の短編を収録。儿帳面な上司の原点に触れた瞬間。独り暮らしする娘に母親が贈ったもの。夫を亡くした妻が綴る日記…。異国の人々が耳を傾けたショートストーリーの名品が、一冊の文庫になってあなたのもとへー。 (文庫本裏表紙より)

よみおえて、おもうこと 

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

「清水課長の二重線」「旅する本」「鍋セット」「物件案内」では、自分の置かれている状況が自分ではわからず、おせっかいを受け入れたところ、事態が好転していきます。また、「マッサージ」「日記」「アンデスの声」では、自分の思いばかりが先行し、他者への配慮に欠ける自分に気づきます。

 いずれも、不運や苦難に勝手に沈み込んでいる自分が、周囲のあたたかみややさしさを感じて、助けられて、前を向けるようになる、だからと言って周囲への過剰な反応もなく、同じようにサラリと相手を認めるようになっている、そんな160ページで10編の短編集です。とても読みやすいです。ラジオは聞いたことがありませんが、音声での語りの方が、しっくりとし、記憶に残りやすいものだと思いました。(2020.06)

では、また!