キジしろ文庫

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ラリイ・ニーヴン「無常の月」

あらまし

 突如地球を襲った未曾有の大災害をスリリングに描き、ヒューゴー賞/星雲賞を受賞した傑作「無常の月」をはじめ、人類未踏の超高密度天体・中性子星に赴いたベーオウルフ・シェイファーの驚異の冒険譚「中性子星」、同じく“ノウンスペース”シリーズに属する「帝国の遺物」「太陽系辺境空域」など、ハードSFの巨匠の数ある作品の中から、ヒューゴー賞受賞作4篇を含む名作中短篇全7篇を収録した日本オリジナル傑作選。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 本書は、おもに、宇宙物理学などを着眼点にした独特の個性ある、とても骨太となっている短編集です。知識・脳力不足のため、話についていくだけで精一杯だと、感じました。以下は、そのような私見、想像を含んだお粗末なポイントをまとめたものです。

(1)帝国の遺物

 警察に追われた宇宙海賊を、固体ロケット燃料となるステージ樹の爆発や、ロケット型となった尖塔の発進の巻き添えにさせてしまうことで、掃討します。動機は、我が身の安全と貧困への恐怖・成功への希望のためでした。

(2)中性子星

 中性子星の双曲線軌道上を進む宇宙船が、強烈な潮汐力(引力と公転力)によって、船首と船尾が引っ張られることが、かつての死亡事故の原因であることに、近日点付近で気が付き、船の中間部にいることで難を逃れます。

(3)太陽系辺境空域

 宇宙船消失が相次ぐ太陽系周辺域を航行するなか、いわゆるエンジンが消失してしまいます。それは、ビッグ・バンで形成された極微の量子ブラックホール(縮潰によって質量を飲み込む)を小惑星の中から見つけ出し、大きくさせ、帯電させ・曳船によって移動させることで、船の略奪・証拠隠滅を図ってきた博士によるものでした。主人公らは、曳舟の破壊によって、自由落下となった量子ブラックホールを目の前で体感し(博士はここで消滅)、さらには難を逃れた後、残った小惑星が吸い込まれ・縮み・消えるさまを直視します。

(4)無常の月

 太陽の新星に伴う地球の裏側への炎の衝撃波を間近に思い、性交渉・飲食・ウィンドウショッピング・買いだめをしますが、そうではなく、最大規模のフレアによる暴風雨に過ぎませんでした(ただし、空気のない月では石を融かしたあとがある)。

(5)ホール・マン

 質量探知機の変化が重力波通信の受信と考えたことで、火星に異星人の基地を発見しました。そこには、量子ブラックホールを電磁場で振動させることによる通信機がありましたが、場のスイッチを切ってしまい、落としてしまいます(ソリの合わない船長が死亡)。やがては、火星を飲み込んでしまうと予測されます。

(6)終末も遠くない

 魔術師の、金属の円盤を中空で回転させる単純な運動学的魔法が、剣士の剣となっている悪魔を消失させます。しかし、この超自然力は枯渇せざるを得ず、今後を憂えます。

(7)馬を生け捕れ! 

 王室のために、タイム・トラベルによって、現地での苦労もして、絵本にあった馬を連れて戻りますが、ユニコーンのようです。また、毒トカゲの求めには、ゴジララドン?を連れて帰ってきます。

(2020.11)

では、また!