キジしろ文庫

ミステリーや文芸小説、啓発書などの感想やレビュー、エンタメや暮らしの体験と発見をおすすめ・紹介!

アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」

あらまし

 2130年、太陽系に突如侵入した謎の物体は、直径20キロ、自転周期4分という巨大な金属筒であることが判明した。人類が長いあいだ期待し、同時に怖れてもいた宇宙からの最初の訪問者が、ついに現われたのだ!“ラーマ”と命名されたこの人工物体の調査のため派遣されたエンデヴァー号は、苦心のすえラーマとのランデヴーに成功、その内部へと入ったが…ヒューゴー賞ほかあまたの賞を受賞した名作、待望の改訳決定版!(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 本書では、人類は、超越的絶対の存在を前にして、歯牙にもかけられず、ガン無視され、なす術もなく知る由もなく、さらにその気まぐれに翻弄され、驚愕し、たじろぎます。このような巨大なスケール感や極限状態によっては、無力さや虚無、ルサンチマン(勉強ができる子をガリ勉と言って蔑むなど)、自己本位など、対人的なタテの構造に陥る(水星人がとった核ミサイルによる破壊)ことにもなりかねません。しかしながら、主人公たちのように、良心にしたがい、愚直に謙虚に力を尽くして鍛錬し、モノゴトを究めることが大事なのでしょう、と感じました。

 以下は、ポイントをしぼって簡単にまとめたものです、参考まで。

 巨大な金属円筒(ラーマ)内部では、主人公らは、即席の筏やスカイバイクを使い、リスク対策をしながら内部潜入・調査を進めます。その結果、以下のような、天地創造から始まりSDGsに至る、ミニ地球歴史のようなことが明らかになります。

①自転に伴う重力による、内部天空にもある金属有機物の海を含めた地上の存在

②太陽輻射に伴う気流発生によるハリケーン現象や酸素量の増加

③大尖塔での大放電や津波、畑地や花との遭遇

④電池駆動の有機体の生物学的ロボットによる清掃・補修などの維持管理

VRデータベースといった一部知性の発見はあったが異星人の存在やその痕跡は不明

 そして、その本体の挙動自体は、何らかの推進装置(スペースドライブ)による軌道修正が行われ、太陽への大接近に伴う放射物質やエネルギーを補給し立ち去る、というものでした。なお、ここで、ラーマ内部にいた主人公らは、近日点手前での軌道修正に伴う振動や音、明かりの変化から退去判断を行い、無事に離脱します。

 (2021.01)

では、また!