キジしろ文庫

ミステリーや文芸小説、啓発書などの感想やレビュー、エンタメや暮らしの体験と発見をおすすめ・紹介!

ラリイ・ニーヴン「リングワールド」

あらまし

 200歳の探検家ルイス・ウーは、ノウンスペースのありとあらゆる驚異を見つくしてしまっていた。だがその彼も、パペッティア人のネサスから見せられた一枚のホロには目をむいた。G2型恒星のまわりを、薄いリボン状の構築物がぐるりととりまいているのだ。誰が、何のために作ったのか?このリングワールドの謎を探るべく、ルイスは凶暴なクジン人の戦士、地球人の若い女ティーラ・ブラウン、そしてネサスとともに、最新型の宇宙船に乗りこみ、壮大な冒険に旅立ったが・・・?! <ノウンスペース>シリーズのクライマックスを華麗に飾るヒューゴー、ネピュラ両賞受賞作品!(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 本書については、コメントなしです。

 さて、以下は簡単なとりまとめです、参考まで。

・パペッティア人は、二万年後の銀河系中心部の核のノヴァ化に伴う衝撃波や放射能による全滅を避けるため、マゼラン雲の方へ移民中、地球から200光年付近で、驚異の文明の超巨大なリングワールドを発見します。そこで、その移民団の危機遭遇を考えて、探検隊を組織しました。主人公ルイスへの報奨は、地球の移住にとって必要な高速船でした。

・地球では、その人口増加に対して500年続いた、遺伝子の優劣に基づく産児制限法が、(パペッティア人の裏工作による)不正スキャンダルによって、今では、誰でも参加できる出産権抽選になっています。結果として、運の強い血統を生み出していることとなり(パペッティア人の利益となるよう、品種改良)、その幸運が続いた6代目にあたるのが、悩みや苦労、恐れを知らず、常に感情をストーレートに表し、勝組にいるティーラ・ブラウンでした。幸運のお守りとして、主人公ルイスとの関係もできたので(幸運によって)、同行することとなります。

・触発的殺人狂のクジン人は、地球との戦争を通じて植民地化され、地球の技術や道徳を教えられ、自制心を備えるなどの進化を遂げていました(パペッティア人に役立てるための品種改良)。なお、地球は、(パペッティア人の裏工作による)星間種子を追ったアウトサイダー人からのハイパードライブの提供を受けて、クジン人との戦争に勝利していました。

・二つ頭で三本足のパペッティア人は、快楽中枢を刺激し中毒化してしまうタスプというものを使うことで、行中、クジン人などを従えます。

・ルイスたちは、リングワールドとのコンタクトが出来ないまま、環の縁にある宇宙港・大きな凹みのある裏面・内側の観察(海、山、川)をするなか、熱電発生源である遮光板に接近し、隕石破壊用の自動X線レーザーによって翼を失い、さらに遮光板を繋ぐ何でも切れる糸に接触のうえ、リングワールドに墜落します。

 なお、リングワールドは、文明発展に必要な太陽エネルギーを集め、重力発生機で居住地をつくるダイソン球の、回転リングによる折衷版として、ルイスによって説明されます。

・ルイスたちは、宇宙船のハイパードライヴは使えるので、リングの外への脱出ができれば、利用できる状態だったことから、援助と文明(原住民)を求めて環の縁にあった宇宙港を目指すこととなります。

(1)リングワールドが巨大なアーチとなって上空に見えるなか、離魂状態となったティーラ・ブラウンのため、地平の見えないように、いったん、地上に降ります。ここで、動力停止によって墜落し廃墟となった浮揚都市と退化した原住民(人間)と出会いますが、創造主と勘違いされ、かつての驚異の時代に戻ることや奇蹟を示すことを請われます。ここで、禁じられた武器を使ったことで異端者扱いされため、襲撃を受けてしまいます。

(2)次の浮揚する無人の城では、接触によってちぎれた遮光板を繋ぐ糸の落下、不時着時の巨大な山のないかつての興隆のあった地図、城の広場に集まる群集に出会い、そして城を天国と信仰する僧侶と話すなかでの翻訳機が爆発したことから、避難します。

(3)次に進む中、物質変換技術を失えば、鉱物資源がないため、リングワールド文明の恢復は難しい、という没落要因の推定をルイスたちはします。そして、中空に浮かぶ巨大な台風の目を突き進んだところ、ティーラ・ブラウンは下降気流につかまりますが、気絶をしながらも運よく脱出・暴走します。しかし、これら(1)~(3)のリングワールドでの危機は、ティーラ・ブラウンにとっては、危険ではなく幸運に導かれている、ということのようです。

(4)ルイスたちは、明かりのある高層建築リングワールド最大の港湾都市にて、ティーラ・ブラウンを捜索しますが、その途中で遠隔操作によって、ビル内の留置所に拘束されてしまいます。そこに現れた女性プリルを、ネサスがタスプを使って、事情を聞き出します。

 プリルは、5つの惑星とリングワールドを繋ぐ24年周期で就航する船の乗船員で、8回目の航行後に戻ったリングワールドは退化した未開となっていました。それは、リングワールド完成後に、住民のいた放棄された10個の惑星に残った廃棄物や汚物に適応し進化した超電導を食い荒らすカビが、就航船によって持ち込まれたことで、動力源が絶たれたことによるものらしいです。プリルは、故郷に戻ろうと、外壁から20万マイルを徒歩で移動した後、自家動力を使ってビルの浮揚装置を立ち上げました。ちなみに、ルイスたちは、このビルの警察署の交通違反取締装置によって捕縛されたのでした。

(5)以下のように決着します。

①建物にフライサイクルを固定し推進する

②遮光板の糸を探しに(2)へ行く

③アーチの根元まで歩いて行くという現地人とデキちゃった(運命の人)、ティーラ・ブラウンを発見・救出しますが、その後もリングワールドに残ることになります(痛みや敗北を味わうなど人格を形成する理想の地)

 ここで、ティーラ・ブラウンやルイスたちのリングワールドでの探検とは、彼女の品種改良による幸運の糸によって、操られ、翻弄されていた、ということが、明らかになりました。

④隕石によってできた巨大な山に到着後、遮光板の糸を不時着した宇宙船に通した上でで固定し、フライサイクルによって固定された建物で火口まで登り、火口から下の外宇宙に放り出されることとなり、脱出します。

(2021.08)

CM 

 最後までおつきあい頂きましてありがとうございました。

では、また!