アーサー・C・クラーク「過ぎ去りし日々の光」(上)
あらまし
西暦2033年、太陽系外縁で発見された巨大彗星が500年後に地球に衝突するとの報がもたらされた!迫りくる滅亡を前に人々は絶望し環境保全など地球の未来への関心が失われていった。そんなおり、ハイテク企業アワワールド社は、いかなる障壁にも遮られずに時間と空間を超えた光景を見ることのできる驚異の技術ワームカムを完成させた。はたしてその存在は人類にとって救いとなるのか?英SF界の巨匠と俊英による話題作。(文庫本裏表紙より)
よみおえて、おもうこと
雑感・私見レビュー:★星1
《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》
本書のコメントは、また、のちほどに。まずは、1/2の簡単なまとめのみです、参考まで。
正義感が強く自由で行動的、市民派女性ジャーナリストのケート・マンゾーニは、スクープ記事を狙うため、アワワールド社に接近します。情報化などの企業の多角経営を目指す、傲慢なハイラムは、その息子たちの異母兄弟である後継者のボブ、さらにイングランドから呼び寄せた(母を慕っていた)ダヴィッドらとともにワームカムの技術開発に成功します(遠隔ビューと過去ビュー)。当初は、FBIなどの政府の独占・市民への一方的使用でしたが、やがて、条件付きで一般市民の使用も可能になりました。
(1)ワームカムの功罪
〇不正融資・脱税・銃の違法販売・性犯罪などあらゆる犯罪捜査・逮捕・裁判、軍事諜報活動や監視、ニュースなどの取材活動、各廃棄物投棄現場や南極大陸の氷床部の湖の調査・海難救助者の捜索・・・
✖国防や治安の機密・企業や個人のプライバシー侵害、それに伴うアワワールド社への非難・告訴・ワームカムによる逆監視・・・
(2)人間模様
ケート・マンゾーニとボブは互いに惹かれ合います。
①これにより、マンゾーニは、父への反抗もあったボビーによって、実験施設内でワームカム技術を発見→それをハイラムに見咎められ、口封じも兼ねられ、マンゾーニは社員に→マンゾーニは、ワームカムを使ったIBMの企業秘密研究への不正アクセス嫌疑により拘束され、そして裁判が開始されます。
②唯一手許においた息子ボビーを(離婚など自分のような失敗をさせないように)過干渉・独占しようとハイラムは、インプラント施術によりボビーをコントロールしていた→それをマンゾーニが発見、解除させた→ボビーは愛など感情や自由意思を回復し、産みの母親ヘザー(映像作家)を訪ねます。
(3)その他背景など
視聴覚や脳内神経に通信可能なインプラントによって、コンシェルジェのごときAIや、個人IDや各種情報との連絡・伝達が可能となっていたり、クルマの自動運転やVR、アルツハイマーや依存症・自閉症(犯罪者含む?)への脳補正治療など、科学技術が進み一般化している未来社会です。
(2021.01)