キジしろ文庫

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アーサー・C・クラーク「神の鉄槌」

あらまし

 西暦2109年、太陽に接近しつつある未知の小惑星が発見された。その後の観測の結果、怖るべき事実が判明、この天体は八カ月後に地球と衝突するというのだ!そうなれば爆発の被害はもとより、粉塵による太陽光の遮断と硝酸雨のため、地球は今後数十年間居住不能な死の星と化してしまう。この危機に際し、最新鋭の宇宙船「ゴライアス」は特殊任務を命じられ小惑星へと向かったが…巨匠が満を持して放つ迫真の宇宙SF。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 昨今の巨大地震パンデミックといった巨大危機が繰り返し起き、有事の備えがないことから、あるいは逃げの姿勢から、その対処は場当たり的・後手に回っています。しかしながら、集団の中での競争などの日常からは発想しえない、独立辺境ならでこその創意やアイデア、またはそのチャンスを活かすことが大切でしょうし、さらに次への意欲にもつながるのだろうと思料します。

 本書では、まず、最大長1295m、最小幅656m、質量10億t、その軌道算出により、地球人類に破滅をもたらすアステロイド(巨大隕石)が、火星のアマチュア天文家によって発見されます。

 次に、太陽と木星との巨大ダイヤモンド点(トロヤ点)にいる調査船ゴライアスが、20万tの液体水素の?核融合駆動推力による継続噴射を行うといった、軌道偏向ミッションに取り掛かります。

 無事に、アステロイドにランデブー・点火をしたものの、①再誕派による爆破工作にをうけ、ゴライアスによる代替推進に切り替えますが、その一方で、②代替推進の失敗に備えて、地球では、1000メガトンの核弾頭による破砕計画が決定されます。

 しかし、その後の太陽との接近に伴い、③熱吸収に伴う彗星内物質噴出による反動の発生、④連続的推力に伴う地盤陥没により、水素タンクの損傷が発生といったアクシデントに見舞われ、ゴライアスはアステロイドから離脱不能になります。乗船員らは覚悟を決めます。

 ついに、計画は実行されますが爆弾は原因不明の不発、しかし、その衝突により、アステロイドはふたつに割れたことで、地球は最小限の被害に落ち着きました。

 なお、以下は、本書でのサイドをかざるもののメモです。

・<太陽系社会>月面マラソン、ディズニー・マーズ

・<その生活>食物循環システム(排泄物リサイクル)、ブレインマンVR)、老化抑制酵素発見に伴う、生殖期間の増加による人口過剰に対して、禁欲といった自然の方法による産児制限(妊娠中絶は罪)の失敗

・<厄災への反応>クリスラム教(キリスト教イスラム教の最良の要素を体現した新たな宗教、再誕派:世界の終末に際し、シリウスからの謎の信号を「神の声」として解読し、月の裏側のパラボラアンテナにより、人の記憶と肉体情報をメモリーに記録・送信し、迎えてもらう(再誕)という狂信者集団

 (2021.01)

では、また!