キジしろ文庫

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メアリ・ロビネット・コワル「宇宙へ」(下)

あらまし

 隕石落下から四年。地球に代わる人類の居住地建設のため、宇宙開発計画が始まった。まずはその第一歩となる有人宇宙飛行に成功、つぎの目標は月面探査だ。そんななか、女性科学者としてテレビ番組に出演したエルマは〈レディ・アストロノート〉と呼ばれ、一躍人気者となる。そして、人類初の有人月着陸ミッションが目前に迫るが・・・。星々の世界を目指す女性パイロットの姿を描く、改変歴史宇宙開発SF。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

  2/2です。相変わらず、差別ばなしは続きます(女性のPR利用など)。

・白人のみの書類選考通過、モデルのようなポーズをとり、インタビューに応える訓練マスコミ公開、ナチのロケット科学者フォン・ブラウンとの面談

 さて、主人公は、かつて女性への嫌がらせを告発した上司からの嫌がらせを、現在受けており、上巻からあったように、宇宙飛行士となるための唯一の弱点である、パニック障害を抑える精神安定剤の服用の克服が、大きな焦点だったのではと思ってました。そこで、下巻では、上司によるこの発覚は危機的状況に進むのですが、ところが、同僚からの能力に対する信頼によって上司が説得されたり、や女性同士の友情と結束によるマスコミへの漏えいを防いだりと、陳腐でがさつ、ヤッツケな展開で終わってしまい、無事宇宙へ飛び立てました。

 全体を通してみると、女性蔑視を嘲笑い・あしらうようにして、とても都合良く・あえて、おざなりに仕上げているようにも、思えました。

 しかし、やりたいことを好き勝手やることができないとか、どうやら、本書の受け止め方は、宇宙開発における強固な性差別・人種差別や時代背景、多様性やジェンダーなどの問題意識や経験といったことに、影響されるなと思いました。

(2020.09)

では、また!