キジしろ文庫

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デニス・E・テイラー「われらはレギオン2 アザーズとの遭遇」

あらまし

 ボブたちの活躍により、荒廃した地球から絶滅寸前の人類を乗せた最初の入植船が、ついに惑星ヴァルカンに到着した。希望を胸に地上へ降り立つ人々。だが、理想の惑星と思われたその地には、恐竜に似た肉食獣や人の体内に幼虫を産みつけて繁殖する昆虫が生息していたのだ!一方、さらなる入植可能な惑星を求めて大宇宙を探索中のボブの一体が、原住生物を虐殺し、鉱物資源を採掘しつくす恐るべき敵、他者と遭遇する!(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

  2/3です。宇宙空間に散らばったボブは、細胞分裂のように増殖につぐ増殖を繰り返し、人類の生き残りへの助力、異星人やアザーズとの遭遇をします。そこでは、愛着や怒り・悲しみを強く示すなど、即時通信のボブネットによって仲間との情報共有、対等な会話や意見、共感を得ていく一方、自立した各ボブたちが自らの道を歩み始めるのを見送ります(旅立ちへの哀しみを感じながら)。なので、巻末の登場人物や系図が役立ちました。

(1)ボブ(エリダヌス座デルタ星系)

・最優先司令(異星文明に干渉してはならないという《スタートレック》シリーズの宇宙艦隊が最優先しなければならない指令条項)はわかっていても、デルタ人絶滅を救うために常駐の天空神(ドローン)として干渉し、その自立まで見守ることとなりました。

・デルタ人たちが、戻ってきた場所は、周囲に同色化することができるヒポクリフがいたことから、バスターなどで襲撃を防ぎます。しかし、天空神としてのボブは、不信をかってしまい、家族のように接していたアルキメデスらデルタ人との距離を置くこととなります。

・一歩下がってデルタ人に運命を決めさせようと、陰から見守るなか、人工過密に伴うデルタ人どうしの諍いが発生してしまいます。そこで、アルキメデスに知恵を授けることで、厄介者たちの自発的?移住がなされたところで、人型アンドロイドとなって、アルキメデス一家の中に溶け込みはじめます。

(2)ハワード(入植地ヴァルカンとロミュラス)

・警備主任ステファンらと原生猛獣警備策準備の後、ヴァルカンに入植。さらに、臭いによる寄生虫対策、繁殖の強い有毒ツル植物を食べるウサギや原生猛獣の食用化、ウィスキーの醸造などを、ブリジット博士らと始め、ついに彼女とのデートに至ります。そして、腫瘍のあるブリジットを想い、人間からのレプリカント技術情報をライカーに依頼します。その手術は成功しますが、AIには身を引かざるを得ない、ステファンとの結婚という、冷たいリアルの現実に至ります。

P303「こんなに長くかかって、自分が人間じゃないことを心の底から納得したんだと思う」「あなたは人間よ、ハワード。大切なのはそこ。あなたが生きてるときに出会いたかった」

・いったんは、ヴァルカンを離れたハワードですが、ステファンの病死に際し、人型アンドロイドとして葬儀に参列し、ブリジットと再会します。そこでは、桁違いのリアルさ・制御していない感覚を強烈に体験します。なお、ブリジットは、ここではレプリカント化を断りますが・・・。

・他方、ロミュラスでは、入植したボブ親族との対話で、一匹狼ではない喜びとせつなさ、憂愁の気持ちを覚えます。

(3)モルダー

・カシオペヤ座イータ星系に、満面の水と動植物からなる浮島による水惑星ポセイドンを発見。その後、入植開始。

(4)ライカー(地球)

・VEHEMENTの破壊工作はエスカレートし、家畜や食料配送だけでなく人命被害にまで及び、さらにホーマーのドーナツ形農場への化学物質投入が起きたことから、ハッキング調査と地球での通信データ調査(電子迷彩技術)を行います。

ニュージーランドからホーマーへの通信を傍受したことから、ホーマーの性格の変化を疑問視します。そこで、ホーマーとのレーザー通信を試したところ、ウィルス感染が発覚。ホーマーを損壊の後修復します。しかし、ホーマーは、命令に従う自分を見るしかできず、自殺もできなかった過去への絶望と悲嘆、消去できない記憶によって不安定となり、終には自爆を選んでしまいます。

・ライカーは、VEHEMENT本拠地と、開発したレプリカントシステムを盗まれたことの動機をつきとめたうえで、ホーマーの復讐をはたします。

(5)マリオ

・建物や道路の惨状が広がるきょしちょう座ゼータ星系を発見後、グリーゼ54系へ行き、偵察隊を展開させます。いよいよ、アザーズ(他者)の存在が明らかとなり、入植したのちの人類の次の危機の可能性が懸念されます。

・その偵察隊のバッシュフルは、グリーゼ877系にてアザーズにより撃墜されてしまいます。さらに、ハルが、アザーズの惑星である、金属で覆われた建造中のダイソン球を見つけますが、その後撃墜されます。

・他方、アザーズが向かった先にあるのは、産業時代にあるミーアキャットに似たバヴ人のいるくじゃく座デルタ星系でした。ジャックは、絶滅を防ぐための2万人の入植船の建造や動植物遺伝物質の貯蔵、戦艦や原子爆弾を準備するも惨敗し、10億人近い知的種族が犠牲になります。

(6)ライナス

・居住可能なKKPを発見、オーストラリアの精神的な問題を抱えてしまったヘンリーを、ボブネットVRに参加させます。

(7)ビル

・ヘラジカなどのアンドロイドを地上で試行することで、例えようのない感覚を体験。

・グリーゼ54系のドローンを使って、アザーズ(全長10km直径1kmの貨物船やデスアステロイド10隻など)と交信し、最上者のいる巣を大きくするための資源と食料として、星系を略奪(収穫)していること、太陽系とイプシロン星系に向かうことなど、の情報を得ます。

(8)ロキ

・エリダヌス座82番星系でブラジル船を殲滅し、居住可能を確認しました。

(2020.12)

では、また!