キジしろ文庫

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アンディ・ウィアー「火星の人」(下)

あらまし

 火星に一人取り残されたマーク・ワトニーは、すぐさま生きのびる手立てを考え始めた。居住施設や探査車は無事だが、残された食料では次の探査隊が到着する4年後まで生き延びることは不可能だ。彼は不毛の地で食物を栽培すべく対策を編みだしていく。一方、マークの生存を確認したNASAは国家を挙げてのプロジェクトを発動させた。様々な試行錯誤の末、NASAが編み出した方策とは? 宇宙開発新時代の傑作サバイバルSF。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:★★★★★星5 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

  2/2です。 

 本書では、超生命体や異星人、AIやアンドロイド、時空間移動などの装置・兵器や戦闘、智略奸計・痴情のもつれ、巨大隕石などの「悪」は登場しません。NASAの装備品や設備と主人公と火星だけです。それでも、最初から最後まで、次から次へとアクシデントやトラブル・ハプニングが発生し、人間くささをだしながらも、クールにそしてコミカルに試練を乗り越えていき、読み休むタイミングを失ってしまうほど、快楽のつぼを刺激されっぱなしと感じました。

 また、本書では、宇宙飛行士ではありながらも、農業、長距離運転手、建設作業員とエッセンシャルワーカーとしてのノウハウやスキルに機転を利かせ、さらに、失敗してもあきらめることのない、しぶとい精神力を見せつけられます。とくに、事務系のデスクワークや管理系のマネジメントなど製造や作業現場から離れていると、生きるのに必要な原点(個人。もちろんチームワークも大切ですが)に引き戻されたように感じます。

 なので、とりあえず、大地震や豪雨、感染症などに備えて、自動車や災害用非常用品の点検・見直し(エネルギー(バッテリーや発発)・水食料・通信・地図・薬・・・)を始めようと思いました(兵站!)。

 以下は下巻の話の流れの主なポイントです。

・中国のブースターを使ってのサプライ機再打ち上げ計画は、ソル624でしかも激突型着陸⇒サプライをピックアップ後、宇宙船ヘルメスを火星へ再帰(ソル549で火星通過)+火星での3,200kmの移動とMAV改造で救出。

・このために要する100ソルに必要な設備を積み込むためのローバー改造の途中で、漏電ショートし地球との交信途絶⇒石を並べたモールス信号にてメッセージ、独力で改造しソル449で出発。

・光量20%の砂嵐の接近⇒六分儀とフォボスによるナビゲーション、太陽光パネルの電力量による観測で脱出。

・ローバー横転事故⇒ロープで起こすなどして修理。ソル505到着。MAVから地球との交信開始し、MAV改造や燃料づくり。

・ソル549でMAVを打ち上げるも、キャンバスが裂けたための高度不足発生⇒ヘルメスにて修正するも高速度の問題発生⇒船首からの爆裂漏気で減速させ、無事MAVからヘルメスへの救出に成功。

(2020.09)

では、また!