キジしろ文庫

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アンディ・ウィアー「火星の人」(上)

あらまし

 有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが―。奇跡的にマークは生きていた!?不毛の惑星に一人残された彼は限られた食料・物資、自らの技術・知識を駆使して生き延びていく。映画「オデッセイ」原作。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:★★★★★星5 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

  1/2です。本書では、たった一人の火星という絶望的状況の中でも、オタクな植物・機械エンジニアが、ひとつひとつ問題を考え、試し、危険な目に遭いながらも、4年後のアレス4を目指して、なんとか切り抜け解決し生き延びます。そのような専門性の発揮と明るい意欲(ちゃちゃっと、イエィ、ワォ、・・・)を奮いながら、他方、不平を漏らしたり(クソッ、チェッ、うんざり・・・)、ルイス船長らの残した私物の70年代のTVドラマやディスコで時間を潰す日常的なエンタメのさまなどが、緊張の連続のなか、とてもコミカルでもあるサバイバルです。

・食料⇒地球と火星の土にうんちを混ぜた畑に、爆発恐怖と実際起こした小爆発にあいながらも残設備や燃料からH2を燃やしてつくった水での、ジャガイモづくり(ソル900までもつ予定だった)。

・通信⇒凍え対策の核燃料と一緒の改造ソーラーカーをつくって、片道800km、往復22ソル間でパスファインダー(着陸機や探査機の無線)を持ち帰り、地球との交信開始(カメラの角度で文字が送られる)。

・水再生機の故障⇒チューブの詰まりを分解清掃。

・キャンバス継ぎ目の繰返し加減圧に伴う疲労によるハブの暴発⇒エアロック・EVAスーツの補修と交換、ハブ復旧、しかしながら残ジャガイモだとソル584までが限界に。

・ソル584を目指し、工程を短縮した、NASAのサプライ機の打ち上げ失敗(固形食材の液状化に伴う偏荷重)⇒下巻へ。

(2020.09)

では、また!