メアリ・ロビネット・コワル「宇宙へ」(上)
あらまし
1952年、巨大隕石が突如、ワシントンD.C.近海に落下した。衝撃波と津波によりアメリカ東海岸は壊滅する。第二次大戦に従軍した元パイロットで数学の博士号を持つエルマは、夫ナサニエルとともにこの厄災を生き延びた。だが、エルマの計算により、隕石落下に起因して、環境の激変が起こると判明する。人類が生き残るためには宇宙開発に乗り出さなければならないが・・・。ヒューゴー賞、ネピュラ賞、ローカス賞受賞の傑作!(文庫本裏表紙より)
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よみおえて、おもうこと
雑感・私見レビュー:★星1
《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》
1/2です。差別や偏見が残っている1950年代、「女性」宇宙飛行士を目指し、周囲への気遣いをしつつも、とても無自覚に積極・行動的にふるまうのはなしのようです。
ところで、主人公は、先の大戦の将軍の娘で元パイロット、スタンフォード大で物理学と数学の博士号をとり、仲睦まじい統括エンジニアの夫とともに女性計算者として、宇宙開発に携わっています。
また、幾度も涙したり、怒ったり、感情豊かではあるのですが、しかしながら、以下の経緯よる衆人ストレスによりゲロを吐く(心配した夫が病院に連れていきます)などの精神面でのトラウマをかかえています。
・ユダヤ人(ホロコースト、服喪の作法・食事の制約や安息日を気にする)
・大学でのいじめ(飛び級で入ったがゆえの男子学生からのいじめ)
逆に、無意識だった黒人差別に関して、いろいろと気づかされもします(白人優先の被災者救出、セスナ機の修理の紹介先、女性だけの航空ショーに不足の軍用機などの紹介先)。
(2020.09)