キジしろ文庫

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京極夏彦「鉄鼠の檻」(三)

あらまし

「私は半ば望んで壊れたのです」。土牢に閉じこめられていた“あの男”は、久遠寺老人を前にしてそう告白した。ちらつくのは幼女・鈴の影。山内の僧はみな口篭もる。しかも多くを語る間もなく“あの男”もまた撲殺された。犯行の目的は那辺にあるのか。もはやこの事件は、世俗の常識の及ぶところにあらず。 (文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 3/4分割なので、以下、備忘録程度に記します。だいぶ明らかになってきました。スッキリするまでもう一息です。

 久遠寺老人、今川、探偵の榎木津が明慧寺に乗込み、

①軟禁されていた菅野博行は、元久遠寺医院の小児科医であり、幼女強姦性癖とクスリ依存から死のうと山に入り、明慧寺で出家し修行していました。しかし、再度、鈴を辱め、脳の埒外にて変わらず幻影を見ていることが明るみになります(異常者菅野犯人説、しかし、仙石楼で目撃されたのは剃髪だった、また再びクスリを始めているが事件無関係と榎木津に言われ、さらに大悟します)。ここで、犯人はいないと言った榎木津は、帰ってしまいます。

 また、久遠寺老人と今川は、仁秀老人宅を訪ね、

②哲童は震災孤児、鈴は、鈴子が産みその後亡くなり、鈴子の振袖やお守りとともにあった拾い子であったことが明らかになります。

 その後、今川は、泰全老師と話したときには既に死亡していたことがわかり、逮捕となるなか、土牢にて大麻とともに菅野博行の殺害が発見され、今度は久遠寺老人が娘の復讐だとして疑われてしまう。

 さて、京極堂らと会った、松宮仁如は、土地処分のために戻ってきており、

③飯窪の尋ね人であったこと、ふたりきりの募る話しのあとは、憑き物がついたこと、

④明慧寺の土地は、笹原氏のパートナーの松宮の父が買いとり所有し、各教団から保管料を得ていたが、火災で死亡後は、小坂了稔発起人の自然保護団体への寄付金となったこと(了稔放火説)、しかし戦後は打ち切られ、僧を召還するも、明慧寺の僧は好んでそこにいた、出られなくなってしまっていたこと、

京極堂の鑑定書物は、地震により地滑りした明慧寺の蔵であり、笹原氏は売りたがっていること

久遠寺老人は、松宮仁如に、鈴の保護を依頼するも、ふたりの雰囲気がおかしいこと、などが明らかになります。

 他方、泰全老師に手込めにされた慈行が、同性愛の英生に嫉妬した祐賢を更迭しようとした諍いが、祐賢とのあいだで起きていましたが、祐賢は明慧寺に戻った常信から、破戒僧の粛清といった、我が身の疚しさゆえに慈行を貶めたことに気づかされます。

(2020.03) 

では、また!