キジしろ文庫

ミステリーや文芸小説、啓発書などの感想やレビュー、エンタメや暮らしの体験と発見をおすすめ・紹介!

SF・ホラー・ファンタジー-京極夏彦

京極夏彦「邪魅の雫」(下)

あらまし 「私の世界は、小さなひと雫の漆黒に凝縮されてしまった」。終わることのない殺人の連鎖。蜃気楼のように浮かびあがっては消える犯人像、そして榎木津と事件の繋がりも見えずにいた。そんな状況下、京極堂は、自らの世界の終焉を悟った男と対峙する…

京極夏彦「邪魅の雫」(中)

あらまし 「私は邪魅の雫に吸われてしまったようだ」。江戸川、大磯に続き平塚でも毒殺死体が発見された。犯行に使われた毒物が、特殊なものではないかと考えた青木は京極堂の元を訪ねる。その正体について京極堂は静かに語り始めた。だが、更なる惨劇の幕が…

京極夏彦「邪魅の雫」(上)

あらまし 「邪悪な陰謀が陰で渦巻いているかもしれん」。榎木津の縁談が先方から悉く断られる。その理由を、榎木津の従兄にあたる今出川の命令で、益田は調べ始める。その頃、小松川署勤務の青木文蔵は、江戸川、大磯で発生した毒殺事件の関連を調査していた…

京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」(下)

あらまし 「薫子さんは―。必ず僕が生かして戻します」。またしても惨劇は繰り返されたが、「鳥の城」に辿り着いた京極堂は伯爵にこう断言した。驚嘆する周囲をよそに、語り出した京極堂。少しずつ明るみになる犯人像。「それでも人は自分の真相を知りたがる…

京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」(中)

あらまし 由良由良由良。頭から離れない。あの青白い顔が。あの硝子玉の目玉の鳥の死骸の群れが―。伯爵家での事件を解明できぬまま、警察を辞めた伊庭銀四郎。再び疼きだした心の傷を癒すため、伊庭は京極堂に赴く。一方、「鳥の城」では関口が花嫁・薫子を…

京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」(上)

あらまし 「花嫁が死ぬんですよ、呪いで」謎の洋館「鳥の城」の主、「伯爵」こと由良昂允は、四度も妻を婚礼の夜に失っていた。五人目の花嫁の命を守るべく、探偵・榎木津礼二郎と、小説家・関口巽は、昂允の依頼を受け、白樺湖に向かう。館の住人達の前にし…

京極夏彦「塗仏の宴 宴の始末」(下)

あらまし 「愉しかったでしょう。こんなに長い間楽しませてあげたんですからねえ」。宴の“黒幕”は笑った。かつて戸人村でおきた事件の真相、十五年後の再会に仕組まれていた邪悪な目論見、そして囹圄の人たる関口巽は助かるのか…。事件のすべての謎を明かし…

京極夏彦「塗仏の宴 宴の始末」(中)

あらまし 「真逆ゲームが続いていた訳じゃないだろうな―」。中禅寺は電話口でそう云ったという。戸惑う記者・鳥口。眩暈坂を次々に上ってくる男たちの口から複雑怪奇な出来事が語られ、古本屋の座敷で収斂していく。揆を一にして伊豆では「成仙道」と「みち…

京極夏彦「塗仏の宴 宴の始末」(上)

あらまし 「その時は、それが真実になってしまうのです」。「成仙道」の幹部・刑部を前に、家族を“喪った”男・村上貫一は大きく揺れた。同じころ、「韓流気道会」の毒手は、突如消息を絶った木場を追う二人の刑事、青木と河原崎へと伸び、華仙姑処女は“開か…

京極夏彦「塗仏の宴 宴の支度」(下)

あらまし 「俺個人がねえだと?」。胡乱な健康法を伝授する「長寿延命講」のからくりを暴き、嘯く“心霊少年”藍童子の言に刑事・木場の心は乱れた。折から富豪・羽田隆三の依頼に応じて伊豆下田に赴いた織作茜の前に再びあの男が現れていう。「しりたいですか…

京極夏彦「塗仏の宴 宴の支度」(中)

あらまし 「私はいつだって、何も解っちゃいなかったのだ―」。元編集者・加藤麻美子を悲嘆の淵へ突き落とした修養団体「みちの教え修身会」と“謎の薬売り”尾国誠一の暗躍に関口は呟く。一方で古武術の一派「韓流気道会」に襲撃された中禅寺敦子に「私は先の…

京極夏彦「塗仏の宴 宴の支度」(上)

あらまし 「知りたいですか」。郷土史家・常島なる男の蠱惑的な囁きは、関口巽を杳冥の中へと連れ去った。昭和十三年、伊豆韮山付近の集落でおきたという大量殺人は果たして“真実”なのか。かたや“死にたがる男”村上兵吉を助けた朱美は、妖しき結社「成仙道」…

京極夏彦「絡新婦の理」(四)

あらまし 「あなたが―蜘蛛だったのですね」。桜の森の満開の下に響く京極堂の声。いまや恐るべき大計は成就した。だが、何故にかくも累々たる骸が晒されねばならなかったのか。神代の昔から続く理を開顕した陰陽師の発する哀しい問いに「真犯人」の答えは…。…

京極夏彦「絡新婦の理」(三)

あらまし 「こうなったら仕方がない。望んで蜘蛛の罠に嵌ってやるんだよ」。絞殺魔が捕縛されてなお迷走する捜査を横目に重い腰をあげる京極堂。事件の構造は連続目潰し殺人とさながら合わせ鏡であると探偵・益田、刑事・青木に気づかせた古書肆は敵の術策を…

京極夏彦「絡新婦の理」(二)

あらまし 「僕等は…知らず知らずのうちに誰かの張った―網に掛かっているようだ」。理事長の織作是亮までが殺害された聖ベルナール学院。事件解決を慫慂する弁護士・増岡に京極堂は不思議な言葉を漏らす。一方、目潰し魔・平野祐吉を追う刑事・木場は捜査線上…

京極夏彦「絡新婦の理」(一)

あらまし 「ふふふふふ。蜘蛛を信じる仲間ですわ」。房総の女学校・聖ベルナール学院の生徒・呉美由紀は校内に潜む背徳の行為と信仰を知って戦慄する。連続目潰し魔に両目を抉られた教師・山本純子は呪われて死んだのか。そしてもう一人、教師の本田幸三が絞…

京極夏彦「鉄鼠の檻」(四)

あらまし 「ああ云う場所はもう―これから先はなくなってしまうのだろうな」。京極堂は最後に独り言ちた。多くの仏弟子を次々に魔境へと拉し去った妄念の寺が紅蓮の炎に包まれたとき、燃え落ちていく憑物の意外な正体が明らかになる。世界ミステリ史上もっと…

京極夏彦「鉄鼠の檻」(三)

あらまし 「私は半ば望んで壊れたのです」。土牢に閉じこめられていた“あの男”は、久遠寺老人を前にしてそう告白した。ちらつくのは幼女・鈴の影。山内の僧はみな口篭もる。しかも多くを語る間もなく“あの男”もまた撲殺された。犯行の目的は那辺にあるのか。…

京極夏彦「鉄鼠の檻」(二)

あらまし 「もしやあの男―本気だったか」。不可解な呟きを残し、今度は老師の大西泰全が惨殺された。天下の険の懐深く入り込んだ捜査陣はなす術もない。空しく仙石楼に引き揚げた骨董屋の今川、カメラマンの鳥口、そして文士の関口。そこに待っていたのは京…

京極夏彦「鉄鼠の檻」(一)

あらまし 「此の度手放したき品は今迄の品とは違ひて、世に出る事は有り得ぬ神品也」。禅僧・小坂了稔の手紙に心惹かれて箱根の老舗旅館、仙石楼に投宿した骨董屋の今川は元医師の老人・久遠寺を知る。が、二人が発見したのは世にも奇妙な小坂の屍。思えばそ…

京極夏彦「狂骨の夢」(下)

あらまし 「実に、見事な左道であった」。謎の寺院、聖宝院文殊寺に乗り込んだ京極堂。白丘、降旗、そして朱美…、照魔鏡をかかげるがごとく記憶の深淵が明らかにされたとき、歴史の底に凝っていた妄執が、数百年の時空を超えて昭和の御代に甦る。いくつもの…

京極夏彦「狂骨の夢」(中)

あらまし 「あなたの夢こそ鍵になるでしょうね」。京極堂は刑事・木場とともに店の敷居を跨いだ降旗にそう言った。逗子湾に浮かぶ金色の髑髏、葉山の山中で起きた男女集団自決に絡まり縺れるようにして殺された老作家・宇多川。やはり犯人は朱美か?目撃され…

京極夏彦「狂骨の夢」(上)

あらまし 「妾(わたし)は人を殺したことがあるんでございますよ」。湘南の保養地、逗子で遊民・伊佐間(いさま)は朱美と名のる女と出会う。彼女は幻想小説界の大御所・宇多川崇の妻。しかも奇怪なことにこれまでに何回も夫を手にかけたという。あまりに妖しい…

京極夏彦「魍魎の匣」(上)(中)(下)

あらまし 「加菜子を―死なせはしません」。被害者の姉は決然と言った。その言葉が刑事・木場を異形の研究所へと導く。中央線武蔵小金井駅で発生した美少女転落事故と連続バラバラ殺人事件に接点はあるのか?研究所長の美馬坂とは何者か?しかし、深まる謎をよ…

京極夏彦「姑獲鳥の夏」(上)(下)

あらまし 「二十箇月もの間子供を身篭っていることができると思うかい?」。昭和二十七年の夏、三文文士の関口巽は東京は雑司ケ谷にある久遠寺医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時…