キジしろ文庫

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京極夏彦「姑獲鳥の夏」(上)(下)

あらまし

 「二十箇月もの間子供を身篭っていることができると思うかい?」。昭和二十七年の夏、三文文士の関口巽は東京は雑司ケ谷にある久遠寺医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の一年先輩だった。ポケットに入る分冊版、刊行開始。

 

 「私を―たすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」 (文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:★★★星3

 京極堂のはなしは長くてウザく、ご都合主義的だし、当の関口君も鬱でたよりない。だけど、そのような知性や理性をもちだしながらも、その外側に存在する憑物筋などを解き明かしていくところ(観測をするまで世界は確率的にしか認識出来ない)が、何とも惹かれるところだと思いました。

 知情意がバランスよくそろっており、ゆたかな心もちです。(2020.01)

 では、また!