村田紗耶香「消滅世界」
あらまし
セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。 (文庫本裏表紙より)
リンク
よみおえて、おもうこと
雑感・私見レビュー:★星1
恋愛→性→結婚→出産・子育て・家族を例に、社会の常識や価値観に盲従すると、個性の発揮もなく、世界は停滞(消滅)してしまうということかな。
だから、正常に対抗する。でも、戸惑い・葛藤・苦悩し、こわれてもしまう(ラストの部分で、新たな性のかたちをつくっているのに、これは、適応障害などとみなされ、除外されるとか)。
なお、これらの背景には、生命力への強い執念と挑戦的なところ、悪く言えば、凡人を小ばかにしたようなものも感じる。(2019.12)