キジしろ文庫

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西加奈子「サラバ!」(中)

あらまし

 両親の離婚、そして帰国。母の実家のそばに住む母子三人は、次第にバラバラになっていった。母は頻繁に恋人をつくり、サッカーに興じる歩は高校で同級生の須玖に影響を受けていく。姉は、近所に住む矢田のおばちゃんが宗教団体の教祖のように祀り上げられていくなか、そこに出入りするようになった。

 そして、阪神神戸大震災が起こった。それは歩の生活にも暗い影を落とし、逃げるように東京へ向かう。脳が蕩けるような学生生活を経て、歩はライターになった。だが、その先で、ある取材を依頼される。そこには変わり果てた姉が絡んでいた。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと 

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

    2/3巻では、日本帰国後、離婚に伴う父からの養育費を得て、主人公歩の小学5年から大卒後のフリーライター4年目くらいまでのお話しです。家族が散りじりになります。以下、ザックリ書きます。

    母は不倫と再婚、父はドバイへの海外赴任・帰国後出家。

    姉は、帰国後の自分の自己顕示欲をきっかけとしたいじめにあい傷つき、中学不登校と高校進学拒否、さらに新興宗教へののめりこむも、オウム事件によって糾弾され、再度傷心し父とともにドバイにて宗教的放浪。帰国後はアーティスト活動し脚光浴びるも、矢田のおばちゃんの死によって、みたび失意のどん底に至る。

    主人公歩は、容姿端麗、お金には困らず、女性には不自由せず(中二:有島、高二:裕子、大学:晶、股のゆるい鴻上)、友人(高校:須玖)もでき、夏枝おばさんや友人だった須玖の影響を受けた、没頭できる「書くこと」である、フリーライターとして活躍し始めます。

 なお、歩は、自ら求めず・決めず・事を起こさず、受け身になって他人からの評価を第一とする、中身からっぽの回りくどい繊細な自己チューです。なので、自分のことは棚に上げ、嫌なことからは逃げ、他人を見下し、憎み、嫉妬する、だいぶ女性的なめんどくさい人間のようです。(2020.03)

 では、また!