キジしろ文庫

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京極夏彦「塗仏の宴 宴の支度」(上)

あらまし

「知りたいですか」。郷土史家・常島なる男の蠱惑的な囁きは、関口巽を杳冥の中へと連れ去った。昭和十三年、伊豆韮山付近の集落でおきたという大量殺人は果たして“真実”なのか。かたや“死にたがる男”村上兵吉を助けた朱美は、妖しき結社「成仙道」の勧誘手口を知るが、そこにもうひとつ疑惑の影がさす。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 1/3分割です。関口君は、現実から幻想や異界へ、魅入られるようにして、迷い込んでしまいます(樹に磔にされた裸体の女性を見上げていた関口君?は、逮捕監禁尋問中で、自我(記憶)が壊れ、喪失しつあります)。

1.ぬっぺらぼう

 駐在所の元警官の依頼で関口君が訪れた戸人村は、15年前に、元の村人51人が消えたうえ、よそものに入れ替わってしまっていることが徐々に明らかになってきます(なぜか、東京の消印のある下田にいる息子からの封筒があるとか)。さらに、そこの旧家の奥の間に、10数年前に元警官が薬売りと一緒に話を聞いていた、くんほう様(のっぺらぼう:選ばれし者が、食すと武勇に優れ、長生きなどする肉人で、旧家は代々奉り、守り伝えてきた)を見るや、関口君は気絶します。

2.うわん

 自殺未遂常習者となった村上兵吉は、人攫いの薬売り(うわん?)によって、家出を手助けしてくれたものの脱出・転々とした後、郷里に戻るも、家族知人がいないことがわかります。その後、譲り受けた町工場を潰し余財を得て、郵便局の検閲で働く中、父や兄の手紙を発見し訪ねるも、今度は、別人しかいないことがわかります。なお、自殺原因は、大家の薦めで入った、みちの教え修身会で、犬の鳴き声で気鬱ぎの病になる術をかけられていた余財狙いだったようです。そこで、村上は、この原因を突き止めてくれた薬売りの尾国誠一とともに、韮山を目指すこととなります。(2020.05) 

では、また!