キジしろ文庫

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辻村深月「かがみの孤城」(下)

あらまし

 学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”は、部屋の鏡をくぐり抜けた先にある城に通うようになる。そこで出会ったのは、境遇の似た仲間たち。7人それぞれの事情が少しずつ明らかになるなか、城の終わりの日が刻々と近づいてくる。鍵は見つかるのか、果たしてこの中の誰の願いが叶うのか・・・。ラストには驚きと大きな感動が待つ。本屋大賞受賞。(文庫本(下)裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 下巻のまとめになります、参考まで。

 異なる時代にいる7人のため、リアルの世界の同じ中学校で会うという、約束を果たすことができません(7人で助け合って登校することがきない)。やがて、かがみの孤城の閉城期限が迫ってきたため、リアルの世界の留年や性的虐待によって居場所を無くしたアキが、午後5時を過ぎても城にいるという、皆を道連れにしながらの自殺(現実からの逃避)行動を起こします。これにより、そのときに城にいた6人は、狼に食べられてしまいます。そこへ、騒ぎを聞きつけたこころが、鍵を探し当て、アキをはじめ6人を、生きて大人になるべく、助けだします。このように願いを叶えたことから、現実に戻った皆は記憶を失いますが、再会を期して別れます。

 ここで、はじめに戻り、不登校となったこころが喜多嶋先生と出会い、そして、進級後の中学に登校し、リオンと再会します。

 さて、「かがみの孤城」とは、病いで、中学に行きたくても行けずに亡くなったリオンの姉が、その直前に創り出し、狼少女として演じたドールハウスでの物語です。集められた7人は、弟のリオンを起点にした、理不尽な境遇に喘ぎ、行き場を失ってしまった同じ中学の子たちです。この姉の思い「生きて大人になる」ことを刻み込まれたことで、7人は、中学時代のそれぞれの挫折や苦境に折り合いをつけ、前を向き歩むこととなります。

 つけたし:リオンの姉からの繋がりの連鎖

⇒弟のリオン(行きたかった中学に、姉の死後、母に疎んじられハワイに出された)

⇒こころ(中二進級時に、戻って来た転校生リオンと出会う)

⇒アキ(中一のとき、こころが出会ったフリースクールの喜多嶋先生、こころの気持ちを察してくれ、信頼を寄せる)

⇒ウレシノ・フウカ・マサムネ(喜多嶋先生のその後の生徒たち)

⇒スバル(マサムネの知り合いとしてのゲーム企画者になる)

(2021.03)

 では、また!