キジしろ文庫

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渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3」

あらまし

 日々は相変わらず。友達もなく、彼女もなく、孤高の学園生活…のはずが、八幡の中に生じた慣れない居心地の悪さ。それはやはり、部室にいない一人の女子が原因なのか…。それを解決できる器用さが雪乃や八幡にあるはずもなく、発生するのは間違いだらけのイベントばかり。戸塚との甘酸っぱい時間、材木座の慟哭と雄叫び、けっして見てはいけない平塚先生の一面…そして、脱衣トランプ!?誤った方向に力強く暴走するキャラたちに囲まれて、奉仕部の日常は戻ってくるのか?ひねくれぼっちの青春ラブコメ第三弾。 (文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:★★★星3

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 現状、その勢いが留まることのないコロナ禍が吹き荒れ、世界は、何も残らない焦土と化した焼け野原にもなりかねません。ワクチンや特効薬、ファクターXなどは今もって研究開発途上ですが、現状、思い当たるところのない不条理な悲運は、ボッチだけではなく皆が、分け隔て無く公平に味わうことになっています。このような淘汰がはたらく中で、唯一生き残れるのは、無生物とボッチだけだと思います。

・ソーシャルディスタンス、オンライン、3密・外出を控えるなどの新生活様式は、リア充にとってはストレスがたまってしまいますが、ボッチにはそもそも普段と変わらぬ至って自然な生活様式です。(感染機会が少ない)

PCR検査が陽性でも、医療関係者以外会えない「隔離」は、ボッチにとっては、まさに望むところです。(治療に問題ない)

・濃厚接触者も極端に少ないので、感染拡大を防ぎます。(社会に貢献)

 第3巻では、このようなボッチである比企谷八幡と天然オバカキャラの由比ヶ浜結衣との関係が、前巻のリセットを受けて、微妙なよそよそしい空気感・距離感で始まり、さらに離れるも、何とかまとまります。具体には、

 比企谷八幡は、①戸塚彩加とゲーセン、②妹小町と行った東京わんにゃんショーで、偶然会った雪ノ下雪乃といるところを、さらに偶然居合わせた由比ヶ浜結衣が誤解する、③ららぽーとにて、雪ノ下雪乃とお誕生日プレゼント選び、ここで屈託なく距離感を詰めることが出来る姉の陽乃と出くわす、④夢を諦めない材木座義輝の奉仕部相談である、もめてしまった遊戯部とのトランプ対決の際に、二人はつきあってないことを由比ヶ浜結衣は聞き出す。⑤雪ノ下雪乃の仲裁により、二人のつまらない意地の張り合いが終わる。「ちゃんと始めることだってできるわ。・・・あなたたちは」(作中引用)

 それにしても、随所にある、生理的嫌悪・素直な気持ちの表現・貶す・冷たくあしらう→開き直りや、ミョーな誇りや自信など、ボッチについての、反応、リアクション、発言は、とても多様で秀逸です。(2020.07)

 では、また!