キジしろ文庫

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渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2」

あらまし

 美少女ふたりと部活をしても、ラブコメ展開にはちっともならない。携帯アドレス交換しても、メールの返事が返ってこない。とっても可愛いあのコは男子。個性という名の残念さをそれぞれ抱え、相変わらずリア充の欠片もない0点の学校生活を送る奉仕部の部員たち―冷血な完璧美少女・雪乃、見た目ビッチの天然少女・結衣、そして「ひねくれぼっち」では右に出るもののいない八幡。そんな青春の隔離病棟・奉仕部に初めて事件な依頼が飛び込んで―?八幡の妹・小町、新キャラも登場の第二弾。俺の青春のダメさが今、加速する―。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:★★★星3

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 主人公は、勝手に思い描くラブコメコミュ力、青春などの幻想へ、強く羨望・嫉妬・苦悩し、さらに卑屈になってもがくなどし、なかなか堅い殻に閉じこもっています。しかしながら、こんな不平等、不条理ひっくるめて、コップの中の嵐でしょ、どんぐりの背比べでしょ、と。嘆きながらボロボロになっても誰からの救いはありません。このような自らの愚かさ、甘え(人を蔑み自己満足や優越感を得る)に気づく時がいつかくればと思います。

 さて、本書にふれると、以下のようになります。

1.案件その1

①職場見学の組分け→②葉山隼人からのクラス内の陰湿な陰口メールの解決依頼→③葉山を求める友達どうしが、組分けの際、葉山が抜けることで、友達になれることで解決。

2.案件その2

①クラスメイト川崎沙希の朝帰りの更正→②アニマルセラピー、平塚先生の生徒指導、メイドカフェ潜入、ジゴロ葉山のっラブコメきゅんきゅん胸きゅん作戦がことごとく失敗。→③塾の費用稼ぎのために、ホテルのバーで働いていたが、スカラシップを目指すことで、解決。

3.案件その3

 職場見学後二人となった比企谷は、由比ヶ浜の想いをわかりながらも、事故に対する気遣いや優しさとして、すれ違おうとする。「いつだって期待して、いつも勘違いして、いつからか希望を持つのはやめた。だから、いつまでも、優しい女の子は嫌いだ。」(作中引用)は、とても痛々しい。

4.その他

 ①痛々しいほど卑屈で腐った性根のひねくれボッチの考え方

・優しさも同情も、愛も勇気も友達も、偽りの虚像と考える。

・学校は社会の縮図であり、人類全体を箱庭にしたようなもの、だから、戦争・紛争→いじめ、格差社会スクールカースト、民主主義の数の理論→友達が多いのが偉い、と思っている。

 ②リア充に対するひねくれボッチの見解

・誹謗中傷メール(悪意の拡散だけでなく、好奇心や時には善意で拡大するなど性質が悪い)などどこかドロドロしたものと向き合わなければならない。→由比ヶ浜のように、人の顔色を窺い、複雑怪奇な人間事情を生き抜く、キョロキョロスキルが大切。

・ツッコミで人の頭叩くとか、何かあった時に抱きつくとかそう言う行動が実にスマートなど自然なスキンシップで、距離感が近い。

・「ザ・ゾーン」:真のリア充のみが持ちうる固有スキルで、その最大の特徴は場を整えることにある。

 ③雪の下と由比ヶ浜への見解

「例えば、雪ノ下雪乃。彼女は誰にも理解されなくとも諦めも嘆きもしない。それでもなお貫き通すことが強さだと彼女は確信しているからだ。例えば、由比ヶ浜結衣。彼女は誰かを理解することについて諦めることも逃げることもしない。表面上であったとしても触れ合い続けることで何かが変わると祈っているからだ。」(作中引用)

(2020.07)

 では、また!