キジしろ文庫

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土屋賢ニ「われ笑う、ゆえにわれあり」

あらまし

 愛ってなんぼのものか、わたしはこうして健康に打ち勝った、あなたも禁煙をやめられる、なにも考えないで楽しく生きる方法、超好意的女性論序説、汝みずからを笑え…などなど本邦初の「お笑い哲学者」が、人間について哲学的に、大マジメに考察した、摩訶不思議、変幻自在、抱腹絶倒の処女エッセイ集。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと 

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 気に入ったところをポツポツ読むのが良い本です。肩ひじ張らずに、気ままに、読めます。なかでも、「汝みずからを笑え」が、悪循環を断ち切るすべとして、妙にナットクした気分になりました。

 からだをくすぐられれば笑ってしまう。笑いは、感情といった知的・心理的反応のなかでも、触覚・圧覚・痛覚・冷覚の皮膚感覚、視覚・嗅覚・味覚・聴覚といった知覚のような、むしろ身体的反応(危険回避)に近いものなのでしょう。なので、発想法を根本的に変えることで、新しい局面が切り開かれることがあるように、つまり、笑いは不幸や苦悩の解決に至るのかもしれません。

 たとえば、チビ・デブ・ハゲ・ブスといった劣等感・羞恥心などの鉄板の不幸や苦悩ネタは、周囲からみれば舌なめずりやよだれものです。また、狭い視野からのヘンテコな価値観や思い込みからくる苦しみ・妬みは、とても貴重でありがたいお笑いネタです。すなわち、自分の常識は、世間の非常識です。

 このようなネガティブな感情・欠点・失敗を隠そうとせず、そこをコミカルに表現して、自分ごと丸ごと笑いのネタにする、そんな自虐風センスをふだんから磨き、鍛えておくことの大切さを再認識です。

※(感情の例)漫画の感情書き分け(泣く・笑う・怒る・驚く)。世界共通の感情6種(喜び、怒り、悲しみ、驚き、恐怖、嫌悪)。その他いろいろ(期待、憧れ、尊敬、信じる、やすらぐ、警戒、怪しむ、照れる、恥じらう、焦る、切ない、憂鬱、胸が痛む・苦しい、心躍る、悔しい、拗ねる、憎む、むなしい、戸惑う)などなど。(2020.03)

 では、また!