キジしろ文庫

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京極夏彦「邪魅の雫」(中)

あらまし

「私は邪魅の雫に吸われてしまったようだ」。江戸川、大磯に続き平塚でも毒殺死体が発見された。犯行に使われた毒物が、特殊なものではないかと考えた青木は京極堂の元を訪ねる。その正体について京極堂は静かに語り始めた。だが、更なる惨劇の幕が落とされる。「人はどうして邪なものの方に魅せられるのか」。(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 2/3分割です。誰かが誰かの名を騙り、名前と人物の一致がとても難しい、なので人間関係が不明、さらに、犯行場所の関連性も見えないです。それらの犯罪を繋げる線(=事件化)が徐々にわかってきますが、全体に靄がかかっているようで、そもそも何が起きているのかも見通せません。以下、備忘メモになります。

1.益田・関口チーム(1)

・榎木津との縁談を断り、来宮秀美:見かけない、福山幸子:自宅に籠る、宇都木実菜:失踪しているのは、連続暴行(強姦)によるものと推理。

・秀美の通う乗馬倶楽部で凝視する怪しい男がいたので、妹の小百合が小言を言った。なお、平塚にも馬場があり。お気に入りの女性調教師がいた。

・榎木津には出征直前に交際していた神崎宏美という女性がいた。

  益田・関口チーム(2)

・平塚にて、馬場は岩崎家のもので、現在は相続人の娘がいること、そこで、女性調教師の神崎礼子を目撃。

・岩崎製薬の保養所から、来宮小百合と赤木が、雑貨屋に鍋などを買いに来ていたこと、殺害当日、酒屋の自転車も目撃との情報を得る。

・赤木は洗濯中に毒殺され、また、保養所での指紋は、赤木、来宮小百合、さらにもう一人いたことがわかった。

2.西田・原田美咲チーム

・美咲は真壁に商人宿を斡旋したのに、もう一人の真壁が住むアパートを斡旋した人が、被害者を真壁ではないと否定した。ここから、斡旋は宇都木か真壁のどちらかで、事件時は、元々通り、アパートには真壁が、宿には宇都木がいた(宇都木はつけ回しから、身を隠しているので本当のことを言えば、知れてしまうので、言い逃れをした)と推理。

・しかし、書きかけの絵を見せた江藤から、被害者は宇都木であることを聞き出す。

3.青木(小松川署)チーム

京極堂から、毒物は、戦中開発した特殊な青酸化合物との可能性を聞き入れる。

・聞き込みから、アパート現場付近と磯海岸付近で赤木を目撃の情報を得て、赤木犯行説を商人宿で推理する中、ブツを追う公安一課の郷嶋が押し入る。それは、飲ませずとも皮膚浸透でも殺害可能だが、開発中止となった存在しないものであった。そこへ、赤木殺害の報が流れた。

4.大鷹

・真壁恵は、警察から疑われている大鷹を会社の保養所(実菜の友達の美咲の会社施設?表札は岩崎)に匿った。そこでは、実菜を俺の女と称し、実菜が食料を運ぶといい、実菜のためにヤバイことをしたという赤木が身を隠していた。ここに、江藤が「雫」を求め、赤木がいることを、大鷹から聞き出す。

・赤木の遺体を発見した大鷹は、真壁恵により、商人宿へ移動し、江藤を保養所へ招き入れた顛末を語った。

5.江藤

・江藤は、来宮小百合死亡時に居合わせ、雫の入った容器・赤木を目撃していた。

・江藤は、大鷹を介して保養所に入り込み、赤木のもつ壜を持ち去った。

・江藤は、西洋磁器人形に似た男から「邪なことをするとー死ぬよ」と云われた。

(2020.08)

では、また!