キジしろ文庫

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ロバート・A・ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」(1/2)

あらまし

 2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇!(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

  長篇のため時間を要し、現状、約半分を読了。このため、忘失なきよう、また、ダラダラとした長文レビューなきよう、約半分となる第1章「本物の思索家」の時点で、押さえておいた方が良さそうなポイントを、「1/2」として、書きとめます。現状まだ、スピード感が出てません。後半に期待します。

・この月世界は、普通に、通貨や銀行・株式、電話・TⅤ・新聞、ホテル・会社・学校・地下住居や農地があり、集会や移動も自由である一方、女性が少なく女系複数婚といった家族のかたち、酒・賭け事だけでなく殺人も可(第三者を入れた当事者間で了解の上)といった、反逆などのトラブル取締りを除けば、ほぼ規制のない社会のようです(青空監獄)。

・しかしながら、流刑地としての地球への帰還のない将来への閉塞感・疎外感(終身刑)とともに過酷な環境(水や空気がなく、即危険の状態)のなか、そこでの刑務作業や、その運営のための都市や各種施設での厳しい対価の就労に対する、水や食料の高騰といった生活の困窮化が進んでいます(月世界行政府が売買を独占)。

・このような月世界での穀物等の生産物は、見返りなく地球への一方的輸出となっていることから、やがては月世界の資源・エネルギーが枯渇してしまい、その破滅予測(人肉共食い)が示されます。

・そこで、抗議集会で出会った主人公らは自意識を持ったコンピュータと共謀し、7にひとつの勝ち目のクーデターに向けた、しくみ(ヒト・組織・カネ・情報・モノなど)を次々と手掛けるなか、予期せず発生した暴動に乗じ、月世界での内乱へと発展させていきます。

 ①月世界行政府からの解放といった意識の醸成(キャンペーンや護衛隊への挑発奨励・扇動)と同志の獲得、地球上の援助者の確保

 ②組織づくり(秘密保持とスパイの存在を前提に、直近しか知りえない系統だった4面体オープン・ピラミッドの細胞組織)

 ③資金づくり(銀行システム侵入)、モノ(防御のための大型レーザー・ドリルや攻撃のための地下射出場建設)、情報(会合しない電話での連絡、密告者データ侵入・通信等制御)

・なお、革命のイデオロギーとして、また、自治組織樹立として、ベルナルド・デ・ラ・パス教授の語った合理的無政府主義(不完全な世界での自由と自己責任?)がカギとなるのか、見えません。

(2020.10)

では、また!