ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
あらまし
「多様性ってやつは、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」
英国で「ぼく」が通うイカした元・底辺中学校は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり・・・。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。私的で普遍的な「親子の成長物語」。
「楽じゃないものが、どうしていいの?」(帯裏より)
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よみおえて、おもうこと
雑感・私見レビュー:★星1
《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》
サバイバルドキュメンタリー風で、大言壮語もなく、身近な語りなので、サラサラ読める。「レイシズム」「マージナライズド」「LGBTQ」「ポリティカル・コレクトネス」「シティズンシップ・エデュケーション」など多様性や差別・偏見、教育についてのためにもなるし、なんとなくやる気も出てくる。
でも、その実感がわいてこない。いろんな出来事を肯定的にとらえているところが、あばたもえくぼ的、いいことずくめの英国エンジョイ子育て記にも見えてしまう。それは、楽しみながら問題を乗り越えているようなタッチのせいなのか、自分のエンパシー(他人の身になって考える能力)が足りないのか。
むしろ、現場で肌で感じて、悩んだり、考えたりして、身につけることや、自分に合った環境を選択し、行動する力といった、おしつけがましくないたくましさが、印象に残りました。(2020.01)