キジしろ文庫

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コニー・ウィリス「航路」(上)2/2

あらまし

 マーシー総合病院で、臨死体験者の聞き取り調査を行なっていた認知心理学者のジョアンナは、神経内科医のリチャードから新規プロジェクトへの協力を求められる。NDE(臨死体験)を人為的に発生させ、その時の脳の活動を詳細に記録しようというのだ。しかしその実験にはトラブルが続出し、被験者が不足してしまう。ジョアンナはみずからが被験者となることを申し出るが、彼女が擬似臨死体験でたどり着いた場所は……!?(文庫本裏表紙より)

 よみおえて、おもうこと

 雑感・私見レビュー:星1 

《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》

 本書は、生命活動をひとつずつ停止させていく臨死のさまを、タイタニック号にたとえています。その一方で、臨死体験の真相を、脳神経や生化学的に導こうとしています。このような助かるはずの命を助けるといった、九死に一生を得るための取組みは、救急救命など、とても大切なことと思います。引き続き、ご研鑽願いたいと思います。

 なお、上巻の残り半分となる14-28/28(329-654ページ)かけて、タイタニック号の体験までしか進みません。

 下巻の展開に期待し、まずは備忘メモしました、参考まで。

・主人公のジョアンナ・ランダの疑似臨死体験は、一度も来たことがない場所だけれども、それがどこかがわかるところでした。それは、沈没間際に救難信号を発信しているタイタニック号の中でした。

リチャード・ライトは、側頭葉刺激に伴う実体のない感覚(思い込み)だったり、長期記憶の混合物(アマルガム)として、分析を進めようとしていたため、ジョアンナ・ランダは、記憶にあった高校の恩師や映画、入院患者などから、その体験の事実確証を得ようとします。

(なお、臨死体験とは、心停止時などに、脳からからだのあちこちに向けた救難信号SOSを、この沈みゆく船で避けることのできない死を自覚すること、として翻訳(メッセージ)していること、のようです(下巻から))

 (2021.07)

CM 

 最後までおつきあい頂きましてありがとうございました。

では、また!