キム・スタンリー・ロビンスン「レッド・マーズ」(上)
あらまし
2026年、厳選された百人の科学者を乗せ、最初の火星植民船<アレス>が地球を旅立った。目的は赤い惑星の荒野に人の住む街を、そして大気と水を造りだすこと。惑星開発をめざし、前人未到の挑戦が始まる。200年にわたる火星開拓史を壮大かつリアルに描き、星雲賞、ヒューゴー賞、ネピュラ賞などシリーズ計11冠制覇、SF史上に不滅の金字塔を打ち立てた<火星三部作>開幕篇(文庫本裏表紙より)
よみおえて、おもうこと
雑感・私見レビュー:★星1
《以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。》
本書は、100人の優れた多国籍の科学者でつくられた隔離集団も、働きアリの法則(2-6-2の法則)に従う箱庭世界をつくったり、そこかしこで仲間をつくり、いがみ合い諍いを起こし、分解し(自由や独立でもある)ていくさまを物語ってくれています。他方、火星の情景や人間関係の日々をこと細かくていねいに表現してくれていますが、逆にそれがとてもわずらわしくも感じました。以下は、その主なポイントです。
①男女の三角関係の修羅場とそのより戻し
②地球的政治やイデオロギー、権益などを持ち込むことのない、原始共同体的ユートピアなどの火星主体の社会制度の樹立とその対立
※具体には、人類生存のための緑化などの火星のテラフォーミングか、生命探索などのための火星自然の保護かです。これは、人間には、自身の認識や思考でしか捉えられない宇宙や火星であるならば、その人間の意識を広め、さらに生命を加え、人間になしうることをなすべきであり、テラフォーミングは然るべき方向である、とされます。
③ホームシックの心理学者や精神的ストレスや不安抱える者を招く創設された新宗教とその離脱
④密航者の存在と暗躍、危険な破壊活動、暴動と殺害
⑤遺伝子工学による長寿薬の発明など科学技術の進展
(2021.08)
CM
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